2014年3月21日金曜日

AKIOCHAMインタビュー


無機ELフリッカー回路
mixtape "JAMAICA"

このblogで過去にも私の身の回りでとても気になった変わった友人、才人へのインタビューをしていますが、今回はAKIOCHAM (アキオ君)に色々御話をうかがいました。彼と初めて会ったのは一年ほど前。イラストレーターのyohey from mocrockが「会わせたい人がいるんですよ」と私のLIVEに彼を連れて来て紹介してくれました。初対面の彼は肩から小型アンプ、手にはサンプラーを持った風貌で登場。挨拶もそこそこに、目の前でいきなり風船をふくらませると、ライブハウスに面した通りにいる小学生や通行人にその風船をポォ~んとストリートに放ち。風船が通行人の肩に触れたり、子供がつついたり地面でバウンドするわけですが、すると不思議!  「ピロリン!」とか「ポワン」といったファミンコンのような電子音が鳴り!それに驚いた通りすがりの通行人、子供達「わーなんだこれ?」と集まり興味津々&興奮状態!で遊びだした!。AKIOの君の周りはちょっとした人だかり。風船がなにかに触れると音が鳴るので、「これはどんな仕組み?」と聞いてくるカップル、または「孫に買ってあげたいんだが、どこのオモチャ屋さんに売っているの?」とか「ぜひうちの養老院でやってほしいので、ぜひ連絡先を」など聞いてくるおばあちゃんなど、なかには「わ! スゲー!」と言って風船を持ち逃げする少年も現れた。この白昼下北沢商店街を騒がせた謎の音の出る風船。実は、、アキオ君が風船を見ながらこっそり手動でサンプラーのボタンを押しているだけのシンプル機構。新種のオモチャかと最新センサーかなにかと期待していただけに皆「なーんだー!笑」と、その仕組みを知るや、がっかりしたのか、なるほどと思ったのか、笑いのけぞる者多数!  という事で衝撃的で不思議なアキオ君との初対面でしたが、その後彼はMIXテープを作っていたり自作楽器また印刷物への造詣が深く自室で色々制作している事など知り、かなーり面白い人だと言う事を知り!今回念願かなって彼のアトリエ訪問そしてインタビューをyohey from mocrockとともにしてきました。以下インタビュー。


●AKIOCHAMは色々な面白い活動(ドリンクチケット発行、しーる製作、電子回路を使ったアナログマシンの制作,MIXTAPE制作など)をしているけど簡単に言うと何の人なの?元々スケーターって事は聞いた事があるんだけど。
「うーん…なんですかね。スケーターっていう意識もないし。よくわかりません。遊んでるだけ。スケボーは大好きですけど名前がついたトリックをやるというよりは、横スクロールとか音とかこの星の引力とか慣性の法則を楽しむ感じです。今は尊敬するテナガザルの真似するのが流行ってます。


電子回路をいじったりするようになったのはDUB MUSICの神様KING TUBBYの影響です。音楽と電気の関係って完璧で、空気の振動がマイクの振動板を伝わって電気の振動に変換される、それを磁気テープに焼き付ける。で違う時間、場所でスピーカーを通して空気の振動に戻してその時の音が聞こえる。これって普通になってるけどミラクル、ミラクルだなって思って。」
AKIOCHAM 御手製のモノラルアンプ&非安定バイブレーター

●そういゆうふうに回路の仕組みなんかを知ってると聞き方も変わるものなの?
「ぼくは全然違くなりましたね。例えばツマミを回して高音を絞った時の感動が全然違うんです。ロマンチック度が。電子くん達は金属の中をサラサラサラ〜って動けるんですよ。光の速さで。
音量を下げるっていうのは電子くん達の通り道にエキサイトバイクの砂のトコみたいな通りにくい部分を作るみたいな事。




DUBでスネアの音だけReverbかかったりするじゃないですか、あれはスネアの音がでる瞬間だけReverbエフェクターをONにしてるんじゃなくてエフェクターはずっとONしてるんですよね。何も音が入ってこないから何もしないだけで。それでスネアの音が出る瞬間だけ通り道にエフェクターにつながる隠しルートの門をツマミとかフェーダーで開ける。
そんな感じで電子くんがどこをどう通ってるのかを熟知してKING TUBBYは音をMixしたり聴いてた。だから俺もその感じ分かりてぇー!!と思って本やネットで勉強しました。といっても小中学生レベルの知識しかないけど。でもその部品のどこを通ってるとか大体のイメージができるだけでね、全然違うんですよ、キックやスネアの愛しさが。ヒィ〜って感じ。ぼく生音より遥かにテープに録音された音の方が好きだもん。特にドラムは。
●普段何してるの?
「普段は基本的に横になっていて、あとは実家のお茶屋の店番をしたりしーる作ったり、MIXTAPE作ったりしています。今はドリンクチケット印刷に力を入れてます。」
mixtape "JAMAICA" (sideB)


●AKIOCHAMはどんな気持ちで物作りしてるんでしょうか?
あれをこうする為にやってますっていう感じではやってないので言葉にするのは難しいけど、根底にあるいくつかの思想にすべて乗っかってます。
まずは、この世界って産まれて「ボーンはい!世界!」じゃないですか。
こう言われすらしてないけど「君はなにをする?」って事ですよ。
でぼくはこの世界を30年くらい見て、この世に意味は無いって気付いたんです。意味なんて無い、誰の人生も別に意味なんて無いんです。そこでみんなで暮らしてる。
次に気付いたのが、ぼくたちが今あたりまえに存在してる日常は超ウルトラスーパーミラクルダイナマイト奇跡の状態だという事。もう答え言っちゃいますけど、この世はそれにいかに気がつけるかのゲームなんです。病気で死にかけて奇跡の復活した人が「でも病気してよかった」とか信じられない事いうじゃないですか。あれです。
ぼくの中には女神様がいて、何か素敵な事をやるとめちゃくちゃ褒めてくれるんですけど、ぼくの作品や行動はその女神様に「ぼく気付いてるよー」って言うための提出物みたいなものなんです。
宇宙空間はほとんど真っ暗な世界ぽいけど、その空間の片隅で青い球と黄色い球とビカビカ光った球とかが引っ張り合ってクルクルダンスしてるわけですよね。まずそれだけでスーパーロマンティックですよね?
でその青い球の表面にどうやら今ぼくたちはいるぽい。こんだけロマンティックな状況をお膳立てしてもらって、「え、お前オレオレ詐欺やんの?」って話なんですよ。これはもうロマンティック対決なんですよ。」


●それでAKIOCHAMはこのロマンティックなお膳立ての上で何やることにしたの?
「ぼくはしーるを作ったり、ドリンクチケットを発行したり、風船で遊んだりしてます。」
●何かどれも子供っぽいというか…
「くだらないんです。ぼくはこの超ウルトラスーパーミラクルダイナマイト奇跡の状態をしーるや風船で遊ぶ為に使うんです。この超ウルトラスーパーミラクルダイナマイト奇跡状態でさらに壮大な事をお金をかけて何かやるのもいいかもしれないけど、ぼくはデザイン的に見てもくだらない事の為に使う方が綺麗だと思うんです。絶望を感じて落ち込むのもアリですね。もし本当に何もない状態からどれをやるとしてもこの超ウルトラボンバーミラクル奇跡状態は作らないといけない。
でもぼく自身はくだらないなんて全然思ってないですけどね。本当はもんのすごぉーく高貴で神聖な遊びなんですよ。」

●風船ゲーム”BABBOON(バブーン)”について
「友達の引っ越しパーティーにたまたま招かれて、そこに居た小さい女の子が風船持っててyohey from mocrock君がおもちゃのサンプラーを持っていてそこから生まれたんだ。飛ばしたタイミングで効果音入れたら凄く盛り上がって「コレだ!」って。」
●このような遊びやその他、色々なアキオ君の創作物を通して何を見てる人に感じてほしいのですか?
「何を感じて欲しいかはよくわかんないけど、ぼくが自分勝手に創ったものがナゼかどこかでだれかの素敵な瞬間を創ってる。これが理想です。」

●DUBの魅力は?
「単純に気持ちいいからなんだけど、ブロック遊びっぽいっていうか、音がドコにいるかがハッキリ分かるところ。音がじゃれ合ってる感じが好き。
ん?なんかさっきの音が戻ってきた!とかね。
ぼくは音楽を聴く時、いつも『音が聞こえることが嬉しい』から入るんだ。
色もそう。キラキラ水色の隣にその紫ありがとう。つって。」
●自分で音を作ろうとは思わないの?
「思いますけどそんなに思わないです。どの時代どの場所に生まれるかもその人の才能だと思ってて、ぼくはRocksteadyあたりのJamaicaの時代に生まれたかった、そこのスタジオになんか知らないけど座ってる奴みたいになりたかった。でもぼくにはその才能は無かった。RocksteadyとかReggaeとか大好きだからやりたいけど、それを今この環境でJamaica人でもないぼくがやっても、その当時より良いものはできないですからね。
とにかく聴きたい。Recording風景とかDrumの人とか床に座ってるやつの気分とか視点をイメージしていつも聴いてます。まぁでもちょこちょこつくってますけどね。


●あきおくんの世代の才能は何だと思う?
ぼくの世代はゲームがファミコンから進化していくのを小学生の時から見たすごい才能のある世代なんですよね。セル画のアニメで育ったし、レコードやカセットテープもそう。アナログからデジタルへの変わり目もコンピュータや電話の発展も見たし。だからその時代を見てないと創れないものを創るべきと思う。それで素晴らしいものができちゃったら「それを創るためにその時代に生まれるべくして生まれた」って後からなるでしょ。
わ、すごい今適当に挙げたもの全部「電気」!」

●印刷についてのこだわりについて聞かせて下さい。
「僕にとって印刷はトラックメイクそのもので、4版刷った場合4トラック多重録音した感じ。四角を1つ描くのと10個並べて描くのとでは雰囲気が違くなりますよね、あれをぼくはGrooveみたいなものと考える。色の配色やテクニックもトラックメイクに似ていて表現として自分にとってやりやすいんです。静的な方が自分に向いてると思う。人種によって何が向いてるかって絶対あると思うんですよ。例えば黒人は音楽が本当に凄くて他の人種の音を聞いてて急に黒人のパーカッションとか聞くと「ええええーっ!!?もう全っ然違うじゃん」って思いますよね?でもあっちはあっちで日本人のものづくり能力見て「ええええーっ!!?」ってなったり。だから自分の今乗ってるマシンの車種に合わせた方がいいんじゃないかと。テキトーに作ってもクオリティ高いなって自分でも思うし。出せっこないですから黒人みたいなGroove、あれ出せないならぼくはいいかなと思って。それより日本人向きの事やったほうがいい。それを象徴してるのがAKAIのMPCとHipHopですよ。
それでぼくはトラックメイクの感じを印刷でやってみる事にしたんです。おもしろいものが出来そうだし、印刷やらせたらレベル高いのは江戸時代に証明済みですからね。育った環境が文京区の近くで印刷物に憧れがあったのもあります。小さい印刷所がいっぱいあって刷り終わった何万部とかの印刷物がブロックになって道に置いてあって切れっ端とか見れるんですよ。機関車みたいなドイツ製の凸版印刷機を見せてもらったり。ぼくがやってるのは主にセリグラフ印刷(Serigraphy)です。」

●創作するにあたってあきおくんが重要視してる事は?
「複製できる宝物を創る。ぼくが見た事ないものを創る。今ぼくの部屋で流行ってる事がすべて。で今ぼくの部屋では印刷とかしーるを作るのが大ブームなんです。
ドリンクチケットつくる時はトラックメイカー。
しーるつくる時は浮世絵師。っていうテンションでやってます。
ここ何十年かアメリカやヨーロッパに新しくてカッコイイ事やられっぱなしだと思うのでそろそろアジアからオリジナルなカウンターパンチしたいんですよ。
だからドリンクチケット見せて
“This is HipHop!!” とか “This is like a DUB!!”
しーる見せて
“UKIYOE is still alive!!”
みたいな事を言わせたらぼくの勝ちです。

●尊敬する人は?
「テナガザル。動きや佇まいがかっこよくて美しいから。もしでっかいやつが宇宙から顕微鏡で地球を発見したとき人間も面白いかもしれないけど、テナガザルの方がシンプルでずっと美しい。必要としてる物も木の実くらいだし。なれるなら今すぐにでもなりたい。人間はもう増えなくていいと思う。『繰り返しのルール』も守らないし。」

●今後どんな活動をして行きたいですか?
「色んな事を図解したい。純正律をDUBしたい。自分で使った分の木を植えたい。
常に頭の中に純正律の美しいリサジュー図形を回してそれを自分のエンジンにしたい。」


●今回紹介したmixtapeなど彼のwebsiteで購入可能ぜひチェックしてみよう。


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